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てつろうのblog

考えをかたちに、記録に。

ブックレポ:私とは何か――「個人」から「分人」へ

ブックレポ

先日youtubeで見た動画が妙に印象に残ったので、平野啓一郎

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)」を読んでみました。

amzn.asia

 

個人はindividual(分けられない存在)ではなく、dividual(分けられる存在)つまり

分人の集合体なのだと説いていく本でしたが、自分にはとても共感できるところが

多かったです。

昔の自分を振り返ってみると、

仕事をしている自分が全てのような気がしていたように感じます。

同期、同僚、先輩など仕事上の人間関係にどっぷりと浸かって、

仕事をうまく進めている自分は幸せだと感じていたように思います。

結果好きでもない人に好かれようとして、

些細な事で裏切られたような気がして、

それが全人格を否定されたような気持ちになっていた気がする。

この本を読んで救われたなと感じるのは、

辛いこと、嫌なことがあったとしても、それは「分人」止まりであって、

個人まるごとではないということ。

仕事で辛いことや嫌なことがあったからといって、それを自分一人の時間や

友人との時間など、別の分人や個人そのものにまで影響を及ぼす必要はない。

 

それは結婚して子供が生まれてから特に感じることが多いです。

どんなに仕事でいい事があっても、妻はそれを完全には理解できません。

逆に仕事でとてもプレッシャーを感じていても、家に帰れば無邪気な

息子の笑顔に出くわします。

自分が大切にしたい分人を大事にすればいいのだと思いました。

 

もう一つこの本から感じることは、人間関係は良くても悪くても

とりあえず続けてみるものじゃないか、ということです。

例えばいま自分はどちらかというと仕事に全身全霊魂を捧げているというより、 

幼い子供と遊ぶ時間に何より幸せを感じています。

でもひょっとしたら、10年後は真逆になっていて、子供と仲が悪くなって

仕事に費やす時間が長くなって、結果とても楽しくなるかもしれない。

5年後はまたその逆かもしれない。

 

てことは、分人のポートフォリオは多くあればあるほど支えが増える、

ということじゃないでしょうか。

いい悪いじゃなくて、すべての人といつでも良好な人間関係が気付けるわけじゃない。

たくさんの人と関わって、その濃淡は時と場合により変えていく。 

そうして自分のバランスを取っていく。

 

どんなときでも、自分を必要としてくれる人、自分にとって居心地のいい場所は、

必ずどこかにあるんだと思いました。